森川くんがマクロを実行すると、グラフの表示が、
表の最終列にある8月のデータに変更されました。
「ありがとうございます!
毎月のグラフ更新ってめんどうなんで、マクロ化したいと思ってたんですよ」
森川くんは照れながら、そう話します。
岬さんは彼の成長ぶりに、確かな手応えを感じていました。
「コンピュータのことはよくわからんが、ウチの会社でも、
IT化の波を無視できないことは、よくわかっている」
コーヒーを飲みながら、社長が星くんに語りかけます。
星くんは緊張して、カップを手にしたまま固まっています。
「基幹システムの開発は90年代に、それこそウン千万円を投資して行った。
それが今の時代に合わなくなっていることも、わかっている。
……そんなときにふってわいたのが、VBAの話だ。
……にわかに信じられなかったよ」
「……VBAで開発を行うことが……でしょうか?」
星くんが恐る恐る尋ねると、社長は鋭い眼光で星くんをにらみます。