昼休みのチャイムが鳴ると、八木くんのデスクに星くんたちが集まってきました。
「八木さん、食堂にお昼行きません?」
岬さんがそう、声かけをします。
「はい、よろこんで。
ここの食堂、美味しいですよね」
「そうかしら? …長く食べてるから、あんまり気にしたことないわ」
泉先輩が心持ち首をかしげながら、そう言います。
「味はともかく、ボリュームはありますよね」
「こないだ取引先でごちそうになったんだけど、ウチの食堂、レベル高い方だよ」
星くんたちがワイワイとやりながら、食堂に入っていきます。
入り口近くの席では、梶田部長と水木さんが、すでにランチを食べていました。
「…げっ。ミズっち、いるわね…」
こちらに手を振る水木さんを横目に、泉先輩が眉間にシワを寄せます。
「梶田部長、水木さん、お早いですね」
隣の席に腰をおろしながら、星くんが二人に話しかけます。
「…この後、客先との約束があるものでね…。
私はもう行くよ、水木くんはゆっくりしていきなさい」
梶田部長がトレイを持って、席を立ちます。
星くんたちは、軽く会釈をしました。
「あら、知らない方がご一緒なのね……お客様?」
「うちのベンダーです。
VBAの強力な助っ人ですよ」
「オフィス・ヤギの八木と申します。
いつも、大変お世話になっております」
八木くんが、深々と頭を下げます。