「まさかお前と一緒に、仕事をすることになるとは思わなかったなあ…」
「俺もだよ、星。
お前と一緒に働くなんて、夢にも思わなかったよ」
二人はしみじみとしながら、紙コップのコーヒーを口元に運びます。
「そういえば、さっきの話だけど……
基幹システムのデータをExcelで共有したいというニーズは、結構あるのかい?」
「もちろんさ。
受発注や在庫のデータ、部品構成に各種単価のマスターなど、
基幹システムとExcelで、全部二重管理になっている。
……誰かが手入力したものだったり、CSVから取り込んだものだったり、
いつの時点のデータなのか、信頼できるデータなのかもわからない。
……こんな状態だよ、わが社は」
星くんの話に、八木くんは眉をひそめます。
「……そいつは、ひどいな。
本来であれば基幹システム内で、全てを管理するべきなんだろうけど……
VBAと同じ開発を、基幹システムでやるのは厳しいだろうね…。
異なるシステムを併用すれば、そういった問題も当然出てくるな」
「ただ基幹システムのデータも、必ずしも正しいってわけじゃないんだ。
コストの関係で、何年もリニューアルしてないからね。
在庫データなんて、無茶苦茶だよ。
現実の在庫数と、かけ離れた数字になってる」
「えっ…。それだと、資材や部品の調達に、影響するんじゃないのかい?」