それから一週間が経ちました。
今日は、森川くんのスタンダード受験の日です。
「うわ。ホコリがすごいですね」
星くんと泉先輩は新規開発案件の、棚卸しシステムの資料を集めるために、資料室にいます。
「やりっぱなしで、どんどん溜め込んでるからね」
泉先輩は、過去の棚卸し伝票を収めたダンボールを引っ張り出しながら、
ぶっきらぼうにそう言います。
「今日は、森川くんの受験日でしたっけ?」
「ああ…、そうね。
まあ、モリリンなら受かるでしょ、あたしでも受かったんだし」
星くんは泉先輩の後ろで、各年の棚卸し集計表を一つにまとめています。
そのときふと彼の頭に、気になっていた"あのこと"がよぎりました。
「(そうだ!水木さんのこと、今が尋ねるチャンスじゃないか…!)」
星くんは集計表をバインダーに閉じると、意を決して切り出しました。
「先輩。…先輩と水木さん、同期なんですよね?
……なんで、彼女のこと毛嫌いしてるんです?」
泉先輩がギョッとした顔で、後ろを振り返ります。