「じゃあ今から、VBAのプログラムを作成していきます。5分ほど待っててください」
星くんはVBEを起動させ、昨日八木くんのマンションで作成したコードを入力し始めました。
泉先輩と江口さんは、不安そうに星くんの手元を見つめています。
ほどなくコードの入力を終えると、星くんは念のためにプリントアウトして持ってきた昨日のコードを見ながら、1行ずつ確認していきます。
Sub Syori()
Dim i
For i = 2 To 23415
If Range("A" & i).Font.ColorIndex = 3 Then
Range("B" & i) = 1
End If
Next i
End Sub
「よし。For…Nextステートメントの繰り返し回数も、ちゃんと修正したな…うん、オッケーだ!
それでは今から、VBAのプログラムでデータの修正を行います」
「へえ…これがVBAっていうのね。何が書いてあるかチンプンカンプンだわ」
泉先輩がもの珍しそうにコードウィンドウを覗き込みます。
江口さんは手を合わせ、拝むようにこちらを見つめています。
星くんは、ゴクリとのどを鳴らしました。
「じゃあ、いきますよ。いいですか?はい、ポチッと!」
星くんが[F5]キーを押すと、一瞬カーソルが砂時計の表示に変わり、すぐに通常のカーソルに戻りました。
「…はやく始めてよ。星くん!」
じれったそうに、泉先輩がせっつきます。
「そーですよ。もったいぶらないで、はやく始めてくださいよ!」
江口さんも、真剣な表情で星くんをうながします。
「へ?い、いや…、もー処理は終わっちゃってんですけど…ホラ」
星くんがキョトンとした顔つきで、画面をVBEからExcelに切り替えました。
「うっそぉーーー!もう終わってんのーーー!!」
泉先輩と江口さんが同時に叫びました。