「うん、できた。"開発にかかる工数"という視点でみると、表はさらにこんな感じになるよ」
星くんが新しい表をのぞき込みます。
「ああ…これはわかりやすいね」
「だろう?少し詳しく説明するよ。
そもそも発生頻度の少ない業務や手間のかからない業務というのは、
VBA化するメリットがたいしてないんだよ。
ましてや開発にかかる工数が多ければ多いほど、VBA化するメリットなんてほとんどなくなってしまう。
考えてごらん、星。
年に1回やるかどうかわからないような業務や、ほんの数分で完了してしまう業務を、
苦労してシステム化することに、どれだけの意味があると思う?」
「確かにそーだね。
ごくたまにしかやらない業務をVBA化したり、簡単に終わってしまう業務をVBA化したところで、
業務効率はそんなに上がらないよなあ」
「そうだ。しかもおまえの会社の場合、VBAで開発ができる人間は星、"おまえ"しかいない。
その貴重なリソースを費やしてVBA化すべき業務なんていうのは、おそらく限られてくるだろう。
まずはそれをしっかりと"調査"し、"見極める"ことが大事なんだ。
なんでもかんでも、バカみたいにVBA化すればいいってもんじゃないんだよ」
八木くんの言葉に、星くんはウンウンとしきりにうなづきます。
「ああ…まさに、このことを部長に伝えたかったんだ。
だけど俺の知識では、どう話していいのかさっぱりわからなくって…。
おまえの説明を聞いて、やっとはっきり理解できたよ」
「…説明したかいがあったみたいだな。
この表を見てもわかるとおり、まず真っ先にVBA化すべきは、
VBA化するメリットが高く、開発工数も少ない、この部分だよ!」