そういって八木くんは、表を指さしました。
「VBA化するメリットについては最初の表で説明したとおり、頻度が高いことと、手間がかかること、
この2つのポイントさえ押さえておけばいい。
開発にかかる工数は、まだ星のスキルでは判断が難しいだろうから、俺のところに聞きにこい。
だいたいの開発工数を教えてやるよ」
「サンキュー八木、いや助かったよホント。
明日、このことを部長に説明してわかってもらえるよう説得するよ。本当にありがとうな」
帰り支度を始めた星くんを、八木くんがあわてて制します。
「…いやいやいやいや…ちょっと待て。
これだけの材料では、おまえの上司を説得するのは難しいんじゃないかな?
話を聞いてると、結構キレ者の部長のようだし…。
それに星、今回の話は業務のVBA化、すなわちVBAによるシステム開発の話だろ?
昨日おまえが作ったプログラム、あれと業務システムとでは開発に対する考え方がまるで違ってくるぞ。
そのあたり、ちゃんと理解してるのかい?」
「ええっ!?同じVBAで作るのに、プログラムと業務システムでは考え方が違ってくるのかい?」
驚いてたずねる星くんに、八木くんはニヤリと笑います。
「まあ、星。コーヒーが冷めるから、早く飲めよ」
そういわれた星くんは、飲みかけのコーヒーを口に運びました。
もっとも今の彼には、八木特製ブレンドの味を楽しむ余裕はありませんでしたが…。