「図星か…。うん、俺も昨日少し考えたんだが…
システム開発にはおそらくそれなりの時間がかかるだろう。
ましてや、おまえひとりで開発するのならなおさらだ。
それにすべての業務をVBA化するというのも、よく考えてみればあまり意味がない。
開発するメリットの高い業務を優先的にシステム化すべきだろう」
「(…どうなっちゃってんの??)」
今から部長に説明しようとしていたことを、逆に部長から説明され、星くんはさらに訳がわからなくなってしまいました。
「そこでだ星、優先的にシステム化する業務の選別を、これから泉くんと一緒にやってもらおうと思うんだ」
「現状の業務が手いっぱいで、それは無理とお答えしました」
となりに座っている泉先輩が、むくれた様子でそういいました。
「…いや…難しいのはよくわかってるんだが…そこを何とか引き受けてくれんかね?」
部長が弱った顔をしながら、泉先輩を説得します。
「(部長も先輩にはからっきし弱いんだよな…。
なんといってもウチの部の業務を一番把握してるのは先輩だし、
先輩がいないと回らない業務が山ほどあるからな…)」
星くんは心の中でつぶやきます。
「システム開発に時間がかかるという点なら、安心していいぞ星。
おまえにひとりアシストをつけるから」
「え…えええ…っ!?」
ちょうどそのとき、会議室のドアをノックする音が響き渡りました。
「失礼します」
会議室に一人の女性が入ってきました。
「…ちょうどいいところに来た。紹介するよ、岬くんだ」
岩田部長の言葉に、星くんと泉先輩はドアの方を振り返りました。