「彼女は江口くんと同期入社だが、配属先未定で総務部に仮配属されてたんだ。
業務繁忙化のため、来年度からウチの部に異動してもらうことになってたんだが…、
前倒して来週異動できるよう今朝、役員に承認をもらったよ」
「(それで朝から事務所にいなかったのか…)」
星くんはピンときました。
「星さんってすごいんですね!VBAのプロだって…総務部のほうでも噂でもちきりですよ!」
「え?い、いや~それほどでも~~~」
岬さんがニッコリと微笑みかけると、星くんが鼻の下をデレ~ッと伸ばします。
そんな星くんの様子をみて、泉先輩はプクーッとほっぺをふくらませました。
「きみたち3人で、業務のVBA化を進めてもらおうと思ってたんだが…泉くんは、やはり無理か…。
しかたないな…ほかの者を…」
「私やります!」
泉先輩が机を乗り出しながら叫びました。
「…えっ、いいのかね?
…でも、忙しくなるし…残業とか…してもらうことになるかもしれないけど…大丈夫かね?」
「残業くらい普通にやります、大丈夫です!」
泉先輩は大きな声で、部長にそう宣言しました。
「(え?えええっ??? いったい何が、どうなってんだよ~~~!!?)」
星くんは目の前で起きている状況が把握できず、ただひたすら目を白黒させていました。