「星くん。はい、これ」
朝礼から戻った泉先輩が、星くんにリストを手渡しました。
「これは…?」
「…こないだ部長のいってた、改善効果が高いと思われる業務のピックアップリストよ。
業務の発生する頻度や、1回の所要時間なんかも書いてあるから、参考にしてちょうだい」
星くんは、手渡されたリストを眺めました。
「…うわあ。あ、ありがとうございます。
でも先輩、これ俺じゃなくて部長に渡したほうがよくないですか?」
星くんの言葉に、泉先輩は一瞬固まりました。
「なにいってるの、星くん!?
あなた、このプロジェクトを岩田部長からまかされたんでしょう?
部長への報告は週一回、リーダーである、あなたのほうから行うんでしょ?
私があなたを飛び越して、部長に直接書類を渡す…それっておかしくないかしら!?」
泉先輩の言葉に、星くんはグウの音も出ません。
「…そうですね、先輩のおっしゃるとおりです…」
「…もう、しっかりしてよ!」
泉先輩はフンと鼻を鳴らすと、席に戻り岬さんを呼びました。
どうやら岬さんに手伝わせる、業務の説明を始めたみたいです。
星くんは、泉先輩が作ったピックアップリストを確認し始めました。
「(…購入部品の手配に発注リストの作成、作業指示書の出力…、
なんだこれ、みんな先輩の業務じゃないか…)」
リストをパラパラとめくりながら、星くんはプッと吹き出しそうになりました。
「(まあ確かに先輩の業務が、数も量もウチの部でナンバーワンだけど…
そっか、先輩の業務が少しでも減れば、その分、プロジェクトにかける余力も増えるってことか…)」
いつしか星くんは、真剣な表情でリストの中身を精査していきます。
そして、ある業務のところで視線が釘付けになりました。
「これは…」