やってみよう!Excel VBAで業務改善!|VBAとの出会い編

"常識とは逆"の開発手法

「…おまたせ、飲みながらでいいから話を聞きなよ。
いいかい、さっき話したような真っ当なシステム開発のプロセスをおまえがやると、まず100%失敗する。
なぜなら、開発経験の不足しているおまえが、十分な要件定義やシステム設計などできるはずがないからだ。
そんなことに時間をさくくらいなら、今から俺が話す"常識とは逆"の開発手法を使ったほうが、よっぽど早く、しかも確実にシステムを開発できる」
「なんだよ。もったいぶらずに、早くその手法っていうのを教えてくれよ!」 コーヒーをすすりながら、星くんはじれったそうに八木くんをせっつきます。

「ははは…すまんすまん、じゃあ説明するか。
その手法というのは…ひと言でいえば、とにかくまず作り始めるということなんだ。
それもシステムの"肝"、最も重要な心臓部からだ。
…想像でもいいから、とにかくまず作り始めるんだよ。星、今回のシステムの"肝"の部分はなんだい?」
「"肝"か…、そーだな。オーダー表の追加アイテムをチェックしていく部分かな…?」 「ビンゴ!そのとおり!
今回、なんといっても肝心かなめになるのは、追加アイテムをチェックしていくコードが書けるかどうかだよ。
逆にいえば、ほかの部分なんか後からどーにでもなる」
「…ほかの部分って…なんだい?」 星くんの言葉に、八木くんはニヤリとします。

「前回、おまえが作ったプログラム。
あれは、1回こっきりしか使わないプログラムだったから、処理を行うブックそのものに、マクロを作成したよね。
星、おまえ今回のシステムは、いったいどこにマクロを作るつもりなんだい?」
星くんは、しばらくワケがわからないという顔をしていましたが、次第に顔つきが変わってきました。

「そ、そーいえば、今回はいったいどこにマクロを作ったらいいんだろう?
…まさか技術部からくるオーダー表に、毎回同じマクロを作成するわけにいかないし…。
そんなこと、考えもしなかったよ!」
「だろ…?他にもおそらく、おまえが考えもしない要望や問題点が山ほど存在するよ。
でもそんなのを、前もって何日も考えたってしょーがない。
まず動くものを作り、それをユーザーに使ってもらうんだ。
そーすれば、ほっといても向こうから要望が出てくるよ。
そしたら今度は、それを1つずつ機能として組み込んでいく…
いわば、開発を行いながら、並行して要件定義を進めていく感じだな。
これが、俺のいう"常識とは逆"の開発手法だよ。ちょっと、ここまでの部分をまとめてみるか」
八木くんはカタカタと、PCにこの手法のメリット・デメリットを書き出しました。

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