星くんは、ポカンと口を開けています。
「そ、そんなことが、できるのかい?」
八木くんは自信たっぷりに答えます。
「できる!なぜなら、開発言語が"VBA"だからだ。
他の言語でこんなことしてたら、手戻りで発生するロスタイムが膨大になるので、
プロのシステム屋ならこんなこと誰もやらない。でも、"VBAの開発"ならそれができちゃうんだ」
星くんは真剣な表情で、八木くんの話に耳を傾けています。
「その理由は、"VBA"が非常に簡単な開発言語だからだ。
ここでいう簡単とは、"習得が容易"という意味じゃあない。
Excelのもつ様々なオブジェクトを自由に使えるという、"VBA最大のメリット"のことだ。
他の言語なら、すべて開発者が自分で用意しなければならない様々な機能も、
VBAならExcelのもつオブジェクトを利用するだけで簡単に実装できる。
つまりVBAの開発と、他の言語の開発では、スタート地点からして大きく違うということなんだ」
「それって、つまりVBAのほうが開発に有利ってことなんだよね」
星くんが、おそるおそるたずねます。
「もちろんさ。星、おまえ今回のシステム開発、どれくらいの期間で完了させようと思ってる?」
「…えっと、そーだな…。2ヶ月くらい?」
「バカ。遅すぎるよ。2か月じゃなくて2週間だよ。
それも、おまえがシロートということを前提としてだ。普通なら、こんなの1週間だよ」
「えええええええええ!!!??」
星くんは、目の玉が飛び出そうな表情で驚きます。
「えええじゃないよ。ホントだって。こんなの1週間もあれば、楽勝で開発できる。
…ただプロのシステム屋にアウトソーシングすれば、おそらくなんだかんだいって1~2か月はかかるだろうね。
その理由は単純さ。
1つは開発言語がVBAじゃないこと、もう1つは開発期間が長ければ長いほどシステム屋はお金がもうかるということだよ」
「開発期間が長いほど、お金がもうかるってどういうことだい?」
「なんだ星、知らないのか?
システム屋は"人月(にんげつ)"という"ひとりのエンジニアが1か月で作業できる作業量"でシステムの価格を見積もるんだ。
つまり同じシステムでも、開発期間が長いほど見積もり価格は上昇する。
同じ人数のエンジニアが開発するなら、開発期間が倍になれば、見積もり価格も倍になるよ」
「…なんてこった。そんなの知らなかったよ…」
「まあ、金もうけのために開発期間を長く見積もるようなシステム屋は、いずれ淘汰されてくけどね…。
とにかく、VBAが圧倒的に開発に有利だということはわかったかい?」