複雑な表情をしている星くんに、八木くんは解説を続けます。
「世の中には"VBAの開発"を悪くいったり、バカにしたりする人たちがいる。
その多くは同業者である"システム屋さん"たちだ。
でも、彼らも自社内のシステムを作ったり、パッケージソフトを作るときはVBAで開発を行ってるんだ。
理由は簡単で、そのほうが圧倒的に開発コストを安く抑えられるからさ。
でも、クライアントにシステム提案するときはVBAを開発言語に選択しない。
この理由も簡単で、すぐに開発できてしまうVBAでは、"もーからない"ということなんだな…。
ちょっと話がわき道にそれたか。
とりあえず星、このシステムの肝である"追加アイテムをチェック"する部分だけ、すぐに開発に取りかかるんだ。
明日中に作り、帰りにでもよって見せてくれ」
「あ、あ、あ、明日中に…かい!!?」
星くんの目の玉は、本当に飛び出しそうです。
「部長のはからいで、会社で開発ができるようになったんだろ?たっぷり時間はあるじゃないか。
今まで学んだVBAの知識で楽勝に作れるよ。
…といっても、かわいそうだから1つだけヒントを出しておくか…。
For…Nextステートメントの繰り返し処理、あれはたしか"入れ子"にできたよね」
そういうと八木くんは、星くんを部屋から追い出し始めました。
「さ、今日はもう帰った!帰った!
…俺はこの後、ネットショップの更新作業で忙しいんだ。明日、また来てくれ!」
部屋から追い出された星くんはマンションの廊下で、ただボーゼンと立ちすくむのでした。