八木くんが解説を始めようとしたとき、星くんがおもむろに質問しました。
「…でもさ八木、マクロからマクロが呼び出せると、どんないいことがあるんだい?」
出バナをくじかれた八木くんは、ちょっとムッとしながらも、
「…そうか、確かにその部分は重要だな。少し詳しく説明するか…」
気を取り直して解説を始めました。
「そうだな…例えば、"星くんの一日"というプロシージャがあったとする。
この中で、おまえが"食事をする"という処理が、何度も必要になるとしよう」
「ふんふん」
「だがあいにく、おまえは料理ができなくて一人暮らしだ。
この場合おまえは外食をするか、出前をとるしか食事をする手段がない。
ここまで、いいかい?」
「えっ?…俺ならコンビニで弁当を買ってきて食べるけど…」
八木くんの口がポカンと開きっぱなしになりました。
「コ、コンビニや弁当屋は近所にないんだよ…。
いや、うどん屋と宅配ピザしか近所にないことにしよう。
そして、おまえは一人暮らしで料理ができない!…ここまで、いいかい!?」
「…わかったよ。それで?」
「"星くんの一日"は、食事をする以外にも"洗濯"をしたり、"掃除"をしたりと、
いろいろとやることがあるだろう。
これらを1つのプロシージャの中にダラダラと書いていったらどうなると思う?」
「すごく長いプロシージャになるだろうね」
「だろう?それに、食事はうどん屋に行くか、ピザをとるかのどちらかしかないんだ。
食事をするたびに、毎回同じ処理を記述するのかい?」
星くんは何かいいたげな表情で八木くんを見つめたあと、
「…ふーん。なんだか、おまえのいわんとすることがわかった気がするよ…」
ニヤリと笑いました。