「…新人に御用聞きをさせるなんて…星、おまえも偉くなったものだな…」
「ぶ、部長…!!いや、それは、あの…」
星くんは、あわてて席から立ち上がります。
「まあいい。プロジェクト開始から一週間たった。
今日は進捗状況の報告をしてくれるんだろうな?」
「…は、はいい!部長のお時間のあるときに、進捗状況をご報告します。
いつがよろしいでしょう?」
「今からでかまわんよ。報告してくれ」
星くんは、シドロモドロになりながらも、泉先輩が改善効果の高い業務をピックアップしてくれたこと、
その中から"オーダー表の追加アイテム確認作業"を業務システム第1号に選んだこと、
とりあえず使うことのできるシステムの"ヒヨコ"を完成させたこと、
その開発の一部を岬さんにお願いしたこと、などを説明しました。
ふんふんと星くんの報告を聞いていた岩田部長は、一通り報告を聞き終わるといいました。
「…この短期間にすごいじゃないか…星!
とりあえず使えるものを先に提供し、後から完成度を高めていくという手法も賛成だ。
じゃあ今日は、そのシステムの動くところを見せてもらえるんだな?」
「は、はい。今から実際に動かしてお見せします…」
星くんの手がマウスに伸びかけたそのとき、部長が待ったのジェスチャーをしました。
「いや、今はいい。
どうせなら業務部全員が見たほうがいいからな。
星、今日の午後一、ここでみんなにデモンストレーションしろ。
俺のほうから部内の人間に声をかけ、時間のある者は全員参加させるようにする」
「ぎょ、業務部全員ですかあああ~~~!!」
星くんは思わず、スットンきょうな声を上げてしまいました。
それまでに準備しておくよう伝えると、部長はそそくさと立ち去って行きました。
「(マ、マジかよ…。
ここにいる全員にデモンストレーションするなんて…、それもあと数時間で…、
そんな話、聞いてないよ~~~!)」
星くんの脇に、イヤな汗がにじみます。
とりあえず泉先輩と岬さんにデモのことを伝え、星くんはアタフタと準備を始めました。