「…で、でわみなさん…。
このたび、私たちが開発しました"オーダー表 追加アイテム確認システム"について、
デモンストレーションを行います。
そもそも、このシステムを開発することになった経緯についてですが…」
星くんのデスクの周りに業務部のメンバー、30数名が集まりました。
外回りの営業に出かけている2名を除き、ほぼ全員が参加しています。
星くんの隣に立っている、泉先輩、岬さんも、心なしか緊張気味です。
星くんは声を震わせながらも、VBAで開発を行うことになった経緯、この業務をシステム第1号に選定した理由、今から実際に披露する、システムのヒヨコについて、一生懸命に説明しました。
皆、興味シンシンに星くんの話に耳を傾けています。
無駄話をする人は一人もいませんでした。
「では実際に、どのような動作をするかご覧ください。
まず、画面の中央にあるこのボタンをクリックします。
すると[ファイルを開く] ダイアログボックスが表示されるので、処理の対象となる"オーダー表"のブックを選択します。
すると自動で、追加されたアイテムがチェックされ、セルの背景色が変更されます。
このとき印刷するかどうか確認してきますので、必要なら処理の結果を印刷することもできます。
チェックの終わったブックは、自動的に上書きして保存されます。
再度ボタンをクリックすることで、連続して処理を行うことも可能です…」
星くんはシステムが動く様子を、実際にデモンストレーションしてみせました。
「……………」
静まり返った皆の様子を見て、星くんの額に冷たい汗が流れたその瞬間でした。