「…ぉおおおーーーーーー!!?」
オフィスに割れるような歓声が響き渡ります。
「なんだ、これ!?星、すっげえじゃん、なんでおまえこんなことできちゃうの!!??」
「ちょ、ちょっとまった…!これができるってことは………俺のあの業務も…!」
「星さん。これって複数のブックを選択して、一気に処理したりもできるんですかぁ!?」
「今、やってるこの業務なんだけど…これを応用すれば、あーやって、こーやって…」
皆、顔をキラキラさせながら、こんなシステムはどうだろう?
ここをこうすれば、もっといいシステムになる…など、熱論を交わします。
みんなの顔が笑顔に包まれた瞬間でした。
「はい!みなさん!!
システム化の要望、ならびに修正・改善の依頼は、別途用意する用紙に記入して提出をお願いします!
用紙は本日中に作成し、私からみなさんに配布します!」
パンパンと手を鳴らしながら、泉先輩が割って入り見事にその場を仕切ります。
星くんは彼女の、どうどうとした姿をまぶしそうに見つめました。
「星くん。これから、忙しくなるね!」
「星さん。デモンストレーション大成功ですよ!さすがですね!!」
泉先輩と岬さんが星くんの肩をポンポンと叩きます。
「星、いいデモンストレーションだったぞ。
業務をVBA化して皆の仕事を楽にしたい、業績を向上させたい、というおまえの気持ちがよく伝わってきた。
この調子で、どんどんプロジェクトを進めてくれ。
システム化していくうえで困ったときや、部内の調整が必要なときは、すぐにいうんだぞ。
バックアップはまかせておけ」
星くんは耳を疑いました。
あの岩田部長が、彼の仕事を評価してくれたからです。
こんなことは入社以来、初めてのことでした。
「(八木…この瞬間をおまえにも見せてやりたいよ。
VBAでみんなが笑顔になるなんて…こんなこと…今まで想像もしなかったよ…)」
星くんはふと、窓の外に目をやります。
木枯らしの吹いていた街角は、いつしか春の陽気に包まれていました。
-完-
2年8ヵ月にわたって連載してきた「やってみよう!Excel VBAで業務改善!」は32話をもって終了いたします。
これまでVBAエキスパートコラムを楽しみにしてくださった皆さま、ありがとうございました。
9月10日より、VBAエキスパートコラム・シーズン2をスタートいたします。
少し成長した星くんを中心に、VBAにまつわるストーリーをお届けします。
シーズン2もどうぞお楽しみに!