終業のチャイムが鳴ると同時に、星くんは八木くんのマンションに向かいます。
「おーい!八木、いるか~」
「おお星か…、もうそろそろ来るころだと思ってたよ」
八木くんがニヤニヤしながら、星くんを出迎えます。
八木くんの部屋に上がり込んだ星くんは、すぐに会社で起こった江口さんの大失敗について説明しました。
「これってVBAでなんとかなるのかい?」
星くんが心配そうに、八木くんにたずねます。
「…ふーん。そのExcelのファイルは持ってきたかい?」
「いや…それは会社の資料なんで持ち出すのはマズイんだ…。でも大丈夫、内容はちゃんと覚えてるから…」
星くんは八木くんのパソコンを借り、Excelを起動します。
「こんな感じでA列に品番が入力されていて、B列に廃番の項目があるんだ。
このA列でフォント色が赤になっている品番だけ、B列に数字の1を入力したいんだ」
カタカタとExcelに表を作り、星くんは説明しました。
「なるほど…C列以降のセルは何も処理しなくていいんだね?」
「うん。廃番になった品番のB列に数字の1さえ入っていれば、あとは並べ替えをして簡単に処理できるみたい。これってVBAでできるのかな?」
星くんは拝むような顔つきで八木くんにたずねます。
「…できるよ。すっごく簡単にね」
八木くんがあっさりと答えると、星くんの顔がパッと明るくなりました。
「ホント、ホント?簡単にできる?やったあ!」
「ただし…!星、おまえが制御構文をマスターしている。という前提でだ」
喜ぶ星くんに、八木くんがしっかりとクギを刺します。
「制御構文………??」
星くんはすっとんきょうな声を上げました。