「でもまあ、最初に作ったプログラムで、
しかも一回しか使わないプログラムとしては、これは上出来だよ。 星、よくがんばったな」
「えへへ…サンキュー。明日の本番、がんばらなくちゃ…。
あ、このファイル、コピーさせてくれよ。家でもう一度、オサライしたいんだ」
星くんは、完成したプログラムをUSBメモリーにコピーしました。
「星、明日の本番に向けて大事な注意が2つある。
今日のテストはきっかり20000行だったけど、会社で実行するときはFor…Nextステートメントの繰り返し回数を、実際のデータの行数に合わせるのを忘れるなよ」
「それともう一つ、必ずファイルのバックアップをとってから、作業を始めるんだ。
VBAで行った処理は元に戻すことができない。
だから万が一うまくいかなくても、最悪、作業を始める前の状態に戻せるようにしておくんだぜ」
「そっか、本番のデータは20000行とは限らないもんな。あと、バックアップだね。
わかった、この2つは最初に必ずやっておくよ。ありがとう八木。
おまえのおかげで、本当に助かったよ。今度、必ずお礼をさせてくれよ」
帰り支度を始めた星くんが、八木くんに感謝の気持ちを伝えます。
「いいよ、そんなの。それより明日、会社でがんばれよ。大丈夫、おまえならきっとうまくやれるさ!」
「うん!明日、会社の帰りに寄って結果を報告するよ。楽しみにしていてくれよ!」
星くんは、八木くんのマンションを後にしました。
夜空は星でいっぱいです。時計の針は、もうすぐ深夜の12時をまわろうとしていました。