だったらここで…
「ほ、星。
もう一杯、特製ブレンドを飲んでけよ…?」
いれたての八木特製ブレンドを飲みながら、星くんは一息入れます。
「はあ…、うまい。
いや~~今日は岬さんの乱入があって、一時はどうなるかと思ったけど
………悪かったな、八木」
「い、いや…全然。
彼女がいつも話に出る岬さんなんだ」
「うん。岬マコ、…この春に総務から業務部に配属されたんだ。
一応、俺のアシスタントってことになってるけど…
彼女のほうがずっとVBAスキルが上だし、ちっとも頭が上がらないよ。
…そういえば、明日から一緒にVBAエキスパートの勉強をするなんていってたけど……
まいったなあ」
星くんはコーヒーカップをじっと見つめます。
「一緒に勉強してもいいんだけど、向こうはスタンダードの受験で、俺はベーシックだろ?
……結局、彼女の勉強の邪魔をするだけだよ。
そんな状態で、業務時間に一緒に勉強するのもなあ…。
ましてや残業なんて……残業代も発生するし、会社に悪いよ」
八木くんはフンフンと、星くんの話を聞いていました。
「だったらここで、3人で勉強すればいいじゃないか?
岬さんはスタンダードの受験だろ?そのくらいなら俺が教えられるし……
残業じゃないから、会社にも迷惑をかけないぜ?」
「ぶ…!!ここで、勉強か!?
しかも、八木と俺と岬さんの3人で?」
星くんは飲みかけのコーヒーを吹き出しそうになりました。
「……まてよ。悪くないかもな…それ…」
星くんは何か思いついたかのように、つぶやくのでした。