3人で、どうでしょう?
「星くん。話って、いったい何?」
星くんのデスクに、泉先輩と岬さんがやってきます。
二人を呼び出したことを、星くんはすっかり忘れていました。
「………先輩、岬さん!!
…忙しいところ、すみません。
少しお話ししたいことがあったもので…」
星くんは、あわてて二人のほうを振り返ります。
そして、打ち合わせ用のブースへ移動しました。
「…実は、俺の親友で八木って奴がいるんですが…」
星くんは二人に、八木くんのことを話し始めました。
彼がVBAの達人であること、困ったときは彼の手ほどきを受けていたことなど、
洗いざらい打ち明けます。
「…で、その八木が今度、VBAの勉強会をやろうって言ってくれてるんですが…。
3人で、どうでしょう?」
「(あの、タラコくちびるか!!)」
岬さんが、ゲッとした顔をします。
「…ふうん、なるほどね。
いつもVBAの難題をすんなり解決しちゃうのは、そういうスゴイ人が知り合いにいたからなのか…」
泉先輩はフンと鼻を鳴らします。
「悪いけど、私はパス。
…正直言ってスタンダードの受験は、私には荷が重いわ。
私が直接、開発するワケじゃないしね。
あなたたち二人が持っていれば、それで十分よ。
…それに、残業代も出ないしね」
あっさりと答える泉先輩を、星くんが残念そうな顔で見つめます。
岬さんは、そんな二人を横目に、何やら考え込んでいます。
「…あたしは…」
岬さんがやっと、口を開きました。
「…あたしは、やってみようかしら。
その、勉強会…」