こんなキレイだったっけ?
ピンポーン。八木くんの部屋のチャイムを鳴らします。
「はい!お待ちしておりました!」
チャイムを鳴らすやいなや、八木くんが勢いよくドアを開け顔を出します。
「(出たな…!タラコ…!!)」
岬さんが一瞬、身構えます。
星くんは、ポリポリと頭をかきながら、
「…悪いな、八木。
実は、もう一人誘ったんだけど…断られちゃった。
俺と岬さんの二人になるけど、いいかい?」
そう八木くんに伝えます。
「オッケー!オッケー!問題ないよ。
さあ、上がって!上がって!」
普段よりもハイテンション気味に、八木くんは二人を迎え入れます。
「…あれ?
おまえの部屋って、こんなキレイだったっけ?」
部屋に上がった星くんが、開口一番にそう言います。
「…な、なに言ってんだよ。
いつもキレイじゃないか。
……今、八木特製ブレンドを入れてくるから、その辺に座って待っててよ」
アタフタしながら、八木くんはキッチンに入っていきます。
岬さんは部屋の隅っこのほうにチョコンと座ります。
星くんも、その隣に腰を下ろしました。
「さあさあ、特製ブレンドが入りましたよ!
岬さんも、どうぞ。ご遠慮なく!」
キッチンから出てきた八木くんが、二人に煎れたてのコーヒーを差し出します。
「(…こいつ、コーヒーが飲めるかどうか尋ねもしないで………
まあ、コーヒー好きだからイイけど…)」
出されたコーヒーを岬さんが、口に運びます。