データ移行について考える
「うん。ブックに保存したデータは、設定データであれ業務データであれ、
そのブックでのみ使用するデータだからね。
新しいバージョンのブックを配布するときは、データ移行について、必ず考える必要があるんだ。
でも、Accessデータベースのテーブルにデータを外だしし、
ADOなどの技術を使ってデータを入出力すれば、データ移行について考える必要はなくなるよ」
ADO(ActiveX Data Object)とは
ADOは「ActiveX Data Object」の略で、データベースを操作するための様々なオブジェクトを持つオブジェクトライブラリです。ADOのもつ様々なオブジェクトを組み合わせることで、AccessのデータベースやMicrosoft SQL Serverなどのデータベースを、自由に操作することができます。
ふーーーっと岬さんは、大きく息を吐き出しました。
VBAの勉強は続けてきましたが、データの種別や保存場所、ましてやバージョンアップで必要となる作業など、
今までこれっぽっちも考えたことがなかったからです。
「Accessデータベースにデータを保存するメリットは、他にもたくさんある。
例えば、他のユーザーとテーブルのデータを共有して、同じデータベースで作業をすることができる。
…まあ排他制御とか、考えなくちゃいけないこともあるけどね。
さらに将来的には、Microsoft SQL Serverなど、本格的なデータベースサーバーに
移行することも視野に入れて、システム開発が行える。
ADOを利用したコードは、わずかな変更で、AccessデータベースからSQL Serverへと
流用することができるからね」
岬さんは、じっと八木くんを見つめています。
「…失礼ですけど。
八木さんってフリーターをなさってるんですよね?」
八木くんがブッと吹き出します。
「…。ゴホッ。フ、フリーターというか…。
ネットショップなんかも経営してますけど…」
岬さんはきちんと正座しなおし、正面から八木くんを見据えます。