八木くんのつぶやき
ポカーーン。
星くんと、岬さんは、口をあんぐりとあけ、目を丸くしています。
「…す、すごいな八木。
まさか、お前がそこまで考えていたなんて…。さすがだよ」
「…いや、まだ最初の一歩も踏み出してないんだけどね」
ポリポリと頭をかきながら、八木くんがボソッとつぶやきます。
「(お前が一緒にやってくれたらなあ…)」
岬さんは、その一言を聞き逃しませんでした。
八木くんのマンションの帰り道、星くんと岬さんは、すっかり日の落ちた道を、
トボトボと歩いていました。
「…八木はやっぱり、すごいなあ。
今日は本当に驚いたよ…」
岬さんは、ほほを赤らめながら、うつむき加減にうなずきます。
「星さん!明日も、たらこ…じゃない、八木さんのマンションに行って勉強するんですよね!」
「う、うん。もちろん、そうだとも」
「がんばりましょう。
…私たちも、八木さんに負けないように!」