彼はキーボードを打つ手を止め、軽くため息をつきます。
「(今やってるこの作業だって、別にわざわざ会社でやる必要はないんだよな…。
VBAを含めた自動化が進めば、どんどん仕事が楽に、やりやすくなっていく…。
俺たちのやってることは、ウチの会社だけじゃない、
この社会全体を豊かにするために、役立つことをやってるんじゃないだろうか?)」
天井の蛍光灯をぼんやりと眺めながら、星くんはそんな事を考えていました。
「システム企画室の新設は、時期尚早だとワシは思うんだが…、皆の意見はどうかね?」
社長のぶっきらぼうな声が、会議室に響き渡ります。
室内には、重い空気が漂っていました。
「しかし社長。
資料の数字が示すとおり、VBAによる改善効果は、誰の目にも明らかです。
彼らにとって、より開発のしやすい環境を用意してやるのは、当然の責務かと…」
岩田部長が、食い下がります。
他の取締役、部長たちは腕組をしてうつむき、セキとして声がありません。
「…あのう……」
おそるおそる手をあげた人物がいます。
総務部長の梶田さんです。
「これはあくまで、私、個人の意見ですが……。
VBAによる業務改善は、時代の流れとして避けて通れないものだと思います。
…電算室はシステム企画室をバックアップし、彼らと一致協力して業務の自動化を推進することが、
結果的に当社のためになるものと考えます」
今までと真逆の意見を述べる梶田部長を、あっけにとられた顔で社長が見つめます。
「私からもお願いします。
どうか、システム企画室の新設をご検討ください」
梶田部長が、軽く頭を下げました。
社長はム~~と声を上げると、椅子の背もたれにどっかりと寄りかかるのでした。
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