ちょっと付き合いなさいよ
事務所に戻った星くんは、泉先輩とばったり鉢合わせしました。
「あら星くん。部長への進捗報告、早かったのね。
今日はもう帰るの?」
「あ、先輩。
…いえ、在庫管理システムの実装が遅れてて…。
少し残業しようかなと思ってます」
泉先輩は星くんの背中を押して、外の廊下に連れ出します。
「ごくろうさん。私は用事があるから帰るけどね。
…ちょっとこの書類ファイルを資料室に返しにいくから付き合いなさいよ」
そういって泉先輩は、ひょいと星くんにファイルを手渡します。
「あ、はい。わかりました」
星くんはファイルを抱えると、泉先輩の後をひょこひょことついていきます。
「………でも、本当に惜しかったわねー。社長賞…」
「へ?………ああー、そうでしたね…」
星くんの脳裏に、4か月前の光景が鮮やかによみがえります。