いざ!本番へ!
それから一週間後、外出許可を取った泉先輩と星くんは、駅前のPCスクールに向かいます。
久々のお出かけに、泉先輩はごきげんです。
「このビルの5階か…」
星くんはプリントアウトした地図で確認します。
エレベータで5階に上がりスクールに入った二人は、早速、受付を済ませます。
「こちらへどうぞ」
試験官の女性が、二人を会場に案内します。
試験前のチュートリアルを一通り終えると、さっそく試験が開始されました。
カチ…、カチカチ。
隣のブースに座った泉先輩のマウスが、小気味よい音を立てます。
順調に解答が進んでいる様子です。
その一方……、
「(…な、な、な、なんなんだよ………これ…?)」
星くんは問題を前に、ボーゼンとしていました。
なぜなら、普段何気なく使っていたオブジェクトや関数の"基本"を理解していなければ
解けない問題が、ずらりと並んでいたからです。
「(………について正しい解説をした記述を選べだって……?
空欄に入る命令……!?マクロを実行した結果!!?)」
ひたいから滲み出た汗が、ほほを伝い机の上に滴ります。
頭の中が白く霞んでいくのを、星くんは感じていました。
試験時間の50分が、あっという間に過ぎます。
試験が終わるとすぐに採点が始まり、画面に結果が表示されました。
「やったーーー!!すんごぉーーい!私、本当に受かっちゃったーー!!」
隣のブースから泉先輩の大きな声が響きます。
「星くん!星くんは、どう!?
私でも受かったんだから、あなたなら楽勝でしょ?」
泉先輩の問いかけにピクリとも反応せず、星くんはうつむいたまま、無言でうなだれています。
「星くん!どうしたの、星くん!
……あなたまさか………!?」