八木くんもあきれ顔
終業のチャイムが鳴ると、星くんはそそくさと事務所を後にします。
彼の足は、八木くんのマンションへと向かっていました。
「そーいえば、あいつのところに行くのも久しぶりだな…」
ドアのチャイムを鳴らすと、八木くんが顔を出します。
「なんだ、星か。
久しぶりじゃないか、今日はどうしたんだ?」
部屋に上がり込んだ星くんは、試験のいきさつについて話しました。
「…それで試験に落ちて、ついでに部長の雷も落ちたってワケか…。
星、おまえチャレンジャーというか……向こう見ずだな」
八木くんがあきれた顔で、そう言います。
「…おまえもそう思うかい?…今は反省してるよ」
「普段の開発では、ヘルプを使ってオブジェクトや関数のコードを参照したり、
イミディエイトウィンドウで結果を確認しながら開発を進めるからな。
いざとなればWebで調べることも、以前作ったコードを参考にすることもできる。
…だからといって、それで試験に受かるわけではないよ。
ましてや、ぶっつけ本番って………。
雷を落とされてあたりまえだよ」
「わかってるって…次はちゃんと勉強するよ。
今日来たのは、それとは別件なんだ」
八木特製ブレンドをすすりながら、星くんが思い出したように言いました。
「…別の用件だって?」
「うん。営業の人の依頼なんだけどね…。
ある範囲のセルが、アクティブになったときだけユーザーフォームを表示して、
そこからユーザーに入力させたいんだって…
そんなこと、できるのかい?」
「ワークシートのイベントを使えば、簡単にできるよ。
…そうか、シートモジュールやブックモジュールのイベントプロシージャは、
まだやったことがなかったな…」
八木くんはそういうと、PCに表を作成しました。