だからどうしたというんだ
岩田部長は腕を組んで、星くんを見据えます。
「ふむ…、だからどうしたというんだ。
星、おまえは試験勉強をやりながら、小口くんの要望に応え機能追加を行った。
そして、試験にもきっちりと合格した。
今と同じことを、続けるだけじゃないか。
何か問題があるのかね?」
星くんは、ぐっと言葉につまります。
「星、おまえのやってきたことはすべて、お前の実績として評価されている。
いいことも悪いこともだ。
みな、お前が考える以上に、お前のことをきちんと見ている。
…がんばるんだぞ、星」
岩田部長が静かにそういうと、彼はそれ以上、何も言えなくなってしまいました。
「わかりました。引き続き、小口さんと一緒に機能追加を行います。
…小口さん、後から規格入力フォームの手直し分、動作を確認してもらっていいですか?」
「お、もう直してくれたんか。
さっすが仕事早いなあ、星。
…岩田さん、私の方からの話は以上ですので、この後は星と作業を続けても、よろしいですか?」
「ああ、かまわんよ。
しっかりと、星の尻を叩いてやってくれ」
岩田部長はうれしそうに、そう言いました。
星くんは席に戻ると、修正済み規格入力フォームの動作をオーグチさんに披露します。
「…材料が入力されていない行では、フォームが表示されない…と、ちゃんと直ってるな。
"入力"ボタンの方は、どうなった?」
オーグチさんは画面を見ながら、自分の目で修正内容を一つ一つ確認していきます。
星くんが修正済みの、規格入力フォームを画面に表示しました。
「いいじゃないか。実際に規格を入力してみてくれよ」
星くんは、リストボックスから適当な規格を選択します。
セルに規格が入力されると同時に、フォームが閉じました。
「いいね!…俺にもちょっと、やらせてくれよ」
オーグチさんは、星くんの席に座ると、実際の業務のようにマウスを操作し始めました。
「………うん?
イメージしたのと、なんか感じが違うな…。
なんでだろ?」
オーグチさんは何度も、フォームの入力操作を繰り返します。